うつ病を克服する方法

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うつ病とは

うつ病画像1

うつ病とは、精神障害の一種で抑うつ気分や、興味の低下、食欲低下、不眠症などを特徴とします。
また、気分が落ち込んでいる症状を抑うつ気分といいます。
抑うつ気分が強い状態を抑うつ状態と言い、抑うつ状態が強い場合にうつ病と診断されます。
うつ状態と抑うつ状態は同等の意味を持ち、一般的によく用いられるのは「うつ状態」という用語です。
精神医学では抑うつ状態という用語を用います。
このようなうつ状態がある程度以上、重度である時うつ病と呼ばれています。
軽度の場合は、抑うつ症状、抑うつ状態などと呼ばれています。

うつ病には診断基準があり、一定の条件を満たした時にうつ病と診断されます。
主に最近2週間の状態から判断され、期間や状態の度合いで軽度から重度の診断を行います。
また、うつ病にも種類があり、非定型うつ病(新型うつ病)、躁うつ病、産後うつ病、冬季うつ病などがあります。

日本のうつ病患者は、100万人を超えており、一般的な病気になっています。
近年、うつ病患者は急速に増加していますが、これはうつ病にかかっている人の増加と、うつ病に関する社会的認知が上がったために受診者が増えているからとも言われています。
また、昔は「怠け病」とも言われ、社会的に認められていない部分がありましたが、うつ病が解明されていく過程で「脳の病気」だという認知に変わってきていることが要因になっているのかもしれません。
その他の精神疾患に伴なう二次性のうつ病も増えているという報告もあります。

うつ病の治療には投薬治療と心理療法が持ちいれられます。
重度のうつ病の場合、投薬治療で症状を改善してから心理療法を行うと効果的だとされています。
これは、状態が悪い場合、思考力の低下や感情の不安定さがあるためうつ病の改善に向かいにくい事があるからです。
心理療法には、認知行動療法が有効とされていて、医療機関で行われる認知行動療法は一部保険適応の対象になっています。
軽度のうつ症状や、早期の抑うつ状態であれば、心理療法だけでの改善も望めます。

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うつ病の種類と特徴

うつ病の克服には、そのうつ病がどのようなものなのかを知る必要もあるかと思います。
うつ病には種類があり、症状も違います。
ここでは、いくつかの種類を紹介します。

うつ病(大うつ病性障害)

一般的にうつ病といわれているものは、大うつ病性障害とも言われます。
セロトニンやノルアドレナリンの不足が原因という説が有力で、脳の病気とされています。
うつ病の特徴
2週間以上の
●気分の落ち込み
●摂食障害
●不眠
●倦怠感、疲労感
●不安、自尊心の欠如
など


非定型うつ病(新型うつ病)

通常のうつ病とは違い、気分が落ち込む事がある期間が長らくあり、好きなことをしている時などには気分が明るくなるようなタイプのうつ病は非定型うつと呼ばれています。
うつ病の半分程度は非定型うつ病と言われています。
新型うつ病と同義で使われることがあり、近年増加しているうつ病です。
非定型うつ病の特徴
●気分の落ち込み
●過度な体重増加または過食
●過眠
●体が重くなる、だるい
●対人関係への不安
●好きな事をしているときは気分が明るくなる
など


躁うつ病(双極性障害)

躁うつ病は、双極性障害とも言われ、躁状態とうつ状態を入れ替わり繰り返す精神疾患であり、気分障害の一つです。
統合失調症と並び、二大精神疾患と言われています。
躁うつ病の診断は難しく、患者はうつ状態のときに受診することが多いので、躁状態を見逃すケースも多くあります。
また、境界性パーソナリティ障害を疾患にもつ患者の双極性障害の確率が高いとされていて、躁うつ病単独での判断は難しいといわれています。
躁うつ病(双極性障害)は、躁状態を伴う双極 I 型障害と、軽躁状態を伴う双極 II 型障害に分けられます。
躁状態の特徴
●自分は何でもできるなどと気が大きくなる
●睡眠欲求の減少
●多弁
●次々と話が飛ぶ
●集中力の低下
●落ち着きがなくなる
●過度な活動
●快楽的活動への熱中、執着
など


産後うつ病

女性が出産後にうつ病を発症するケースです。
1割から2割の方に生じるもので、決して少なくありません。
妊娠、出産によるホルモンバランスの変化や体の変化が原因と言われています。
また、育児からのストレスが原因の場合もあります。
産後うつ病の場合、症状はうつ病と同等ですが、子供に興味を持てなくなってしまったり、育児に忙しく、救いを得られないケースがあることが問題となります。
産後うつ病の特徴
●理由もなく憂うつになる
●理由もなく泣いてしまう
●食欲不振
●不眠
●倦怠感、活動の低下
●赤子へのイライラ
●自尊心の低下
など


冬季うつ病(季節性情動障害)

ある季節になると、体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状が出るケースです。
脳機能障害の一種で、 季節性気分障害、季節性感情障害などともいわれます。
はっきりとした原因解明はされていませんが、日照時間が短くなることに原因があるという説があります。
体内時計をつかさどるメラトニンが、日照時間が短くなることで分泌のタイミングが遅れたり、分泌が過剰となるために体内時計が狂ってしまう為や、光の刺激が減ることで神経伝達物質の セロトニンが減り、脳の活動が低下してしまうと考えられています。
冬季うつ病の特徴
●10月から11月ごろに憂うつな気分が始まり、2月から3月ごろに治まる
●気分の落ち込み
●活動力の低下
●食欲不振
●睡眠障害
など


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うつ病にかかるケース

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うつ病になりやすい性格

うつ病には内因性と外因性の原因がありますが内因性のケースでその人の性格が影響をしている事もあります。
うつ病になりやすい性格として、


●真面目
●責任感が強い
●完ぺき主義
●人あたりが良い
●慈善心が強い
●周囲の評価が高い人

などの性格を持っている人が多いということが言われています。
頑張りすぎたり、ストレスをためこんでしまう傾向にあるため、うつ病にかかりやすいのです。
優先順位を上手につけられず、押しつぶされてしまうという事もあります。
しかし自分の性格を変えるのはとても大変なことです。
自分の性格を意識して、常日頃からうつ病にならないような自己ケアが必要になります。
性格を変えたいと思われる方はこちらも参考にしてみてください。
参考:性格を変える方法


過度のストレスによるうつ病の発症

家族の死別や、大きなトラブルがきっかけで、突然うつ病になる事もあります。
元々の性格も影響しますが、環境因が大きく占めるケースです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)なども突然のストレスによるケースが多いですが、うつ病とは区別されます。
過度のストレスの場合、そのストレスが取り除かれた場合は、症状が徐々に改善する事もあります。
ですが、一種のトラウマのようになってしまい、似たような光景や状況になると落ち込みが大きくなる事もあります。
突然の発症の場合、事前の早期発見が出来ない上に、心理的対処では改善しないケースがほとんどです。
治療初期は薬物療法が必要になります。


身体的要因

うつ病の原因は精神的な要因だけではありません。
身体的な要因でうつ病を患う事もあります。
慢性的な疲労や、大きな怪我、妊娠や出産後などが原因の場合もあります。
慢性な疲労の場合、精神的には充実していても、ふとした瞬間に落ち込みや思考の低下を起こすことがあります。
また、大きな怪我などで体の傷だけだと思っていても、精神的なストレスになってうつ病を患う場合もあります。

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うつ病回復の道のり

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まずはうつ病だと知ること。そしてうつ病を正しく知ること。

うつ病の改善で、まずはじめたいのが、「自分がうつ病である」ということを知ることです。
更に、うつ病という病気を正確に知ることです。
うつ病は脳の病気であり、ただ怠け心が強いという簡単なことではありません。
頑張ろうとしても頑張れない、動こうとしても動けない、考えようとしても考えられない、悪いイメージしか湧かない、このような状態は負の連鎖を起こしてしまいます。
まずは、自分の状態を知るというスタートラインに立つことが必要なのです。
気分の落ち込みや、疲れが溜まっている人は、こちらでチェックをしてみてください。
うつ病チェック


そして大切なのが、うつ病を正しく知ることです。
うつ病の原因は科学的に立証はされていませんが、その人が弱かったり情けない性格だからかかる病気ではありません。
うつ病は脳内の神経伝達物質の活動異常が原因と考えられていて、その異常な働きをおこしてしまう原因がストレスのような精神的なものであることが多いだけです。
どんなに性格がポジティブでもうつ病にかかる可能性はあります。
それ程、脳内で起こっている現象をコントロールする事は難しいということです。
うつ病になると自分を責めてしまう方が多くいます。
自分を責めずに、自分と向き合う事がうつ病克服の近道です。


負の連鎖を断ち切る

うつ病の症状を悪化させてしまうパターンで、「つらいのに頑張る」という事があります。
真面目だったり責任感が強いと自分を追い込んで頑張ってしまう事もあります。
また、落ち込んでいる人を見ると、周囲は励まします。
うつ病の人に励ましは逆効果になる事もあるので注意が必要です。
頑張らないのは良くないことかもしれませんが、頑張りすぎるのもあまり良くないことなのです。
人は心身ともにリミッターを持っています。
走りすぎれば筋肉痛になりますし、悲しい時は涙を流してストレス物質を体外へ排出します。
ですが、頑張りすぎてそのような身体や心のシグナルを無視していると、脳は正常な活動が出来なくなっていきます。
思い切って休む事も必要ですし、楽しい事を求める事も必要です。

必要であれば休息や、病院への受診を考える

うつ病の方でよく見られるのは、「かなり症状が悪化しているのに病院へ行く事を拒む」というケースがあります。
うつ病になりやすい性格の、真面目さや誠実さがうつ病という病気に偏見を持たせているのかもしれません。
先ほどもありましたが、うつ病は様々な要因で患う可能性がある病気です。
「自分は大丈夫」と思って放置していると、回復のしずらい重度の症状が表れるかもしれません。
うつ病で大切なのは早期発見と早期対処です。
うつ病は重度になるほど回復に時間がかかるといわれています。
早い段階で対処が出来れば、自分だけで回復する事も可能です。
また、重度の症状がある場合、薬物療法が必要になる事があります。
現在、うつ病患者に処方される薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを取り戻すものがほとんどです。
これは、脳が疲れているのを回復する手助けをするものだと考えてください。
うつ症状が重たい場合、様々な精神疾患や自殺衝動などの問題もあります。
ひとまず、脳内のバランスを改善する事も必要なのです。

根本的な部分を改善する

うつ病の再発率は50%と言われています。
再発後の再々発率は更に高くなっています。
これは、一度うつ病にかかった人は完全に回復する事が難しいということです。
ですが、これには訳があります。
病院では、うつ病に対して薬物療法が主に行われます。
薬物療法は、その場や長期的に服薬することによって症状が改善します。
そこで、改善したという診断が出ても、実は今現在の症状が改善したというだけなのです。
うつ病になる要因のほとんどは心理的なものです。
性格や物事の捉え方、偏った考え方が、とある事柄をきっかけにして脳のバランスを崩すトリガーになっているのです。
薬物療法だけで改善した場合、また同じような状況になった時は再発の可能性が高いのです。
では、うつ病を改善するには何が必要でしょうか。
それは、根本的な心理的対処が必要なのです。
言い換えれば、性格の改善だったり心の成長でもあります。
その部分に取り組まないでいると再発率は下がる事はないでしょう。
心と体と脳は一つです。
根本的な改善は全てにつながっていきます。
うつ病の回復には、自分と向き合い、成長と改善をする必要があるのです。

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うつ病の治療

薬物療法

うつ病と診断されると薬物療法が検討されます。
薬物療法は脳内の崩れたバランスを正常な状態に近づけるためです。
うつ病には一般的に抗うつ薬というものが使用されます。
抗うつ薬は、うつ病の原因と考えられている脳内の神経伝達系(セロトニン、ノルアドレナリン系)に作用し、いくつかに分類されます。
古いものから「三環系」、「四環系」、「SSRI」、「SNRI」、「NaSSA」となります。 新しい薬ほど脳内伝達物質の種類に対して選択的に作用するので、治療効果が高く副作用が少なくなります。
但し、効果には個人差があり、効果が実証されるまでは、数週間から数ヶ月かかる場合もあります。
改善が見られない場合は、薬の変更や組み合わせの変更を行うのが良いとされています。

薬物療法にはリスクがあり、効果の有無や副作用、依存性の誘発と気をつける部分があります。

認知行動療法

認知行動療法とは、認知に働きかけて心や体に表れる症状を緩和する心理療法の一種です。
認知というのは、ものの受け取り方や考え方のクセの事を言います。
自分の許容量を超える物事に対して、人はそれを回避しようとしたり、感情を捻じ曲げたりすることがあります。
それが上手くいかず、どうしようもない状況や精神状態になる事もあります。
そうした時に対処できるように、考え方のバランスを取ってストレスに対応できる精神状態をつくっていきます。
うつ病の原因は、ショックな出来事や心への負担ですが、どちらも脳が処理をしているものです。
その処理の仕方をコントロールし、うつ病の症状が出ないようにしていくのが認知行動療法です。

認知行動療法は、医師が行うと共にうつ病の診断を受けているなどの条件を満たしていると保険診療となります。
民間で認知行動療法を行うカウンセラーもありますが、そちらは保険適応外となります。

認知行動療法はその方法を身につけていくと、自分自身で認知行動療法を実施する事もできます。


厚生労働省こころの健康科学研究事業
うつ病に対する認知行動療法マニュアル(治療者用)


また、インターネット上では自分で行う認知行動療法もあります。
自分で出来る認知行動療法


TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)

大脳皮質を刺激し、皮質や皮質下の活動性を変化させる方法です。
直径 7-8cm の 8 の字型コイルに瞬間的に電流を流すことにより磁場が形成され、それに伴って生じる誘導電流が、大脳皮質の神経細胞の 主に軸索を刺激すると考えられています。
うつ病のほかにも、脳卒中後や、失語、うつ病、パーキンソン病、難治性疼痛、片頭痛などにも適応されています。
保険適応はなく、受けるためには医師の診断や紹介状が必要になります。
また、実施している医院も少ないのが現状です。


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うつ病克服の注意点

うつ病克服を焦らない

うつ病にかかる方は「真面目」「責任感が強い」「融通が利かない」などの性格傾向があると言われています。
その傾向自体は悪いことではないのですが、必要以上に自分を追い込む事は望ましくありません。
また、うつ病にかかった後もその性格傾向が「うつ病を治さなければいけない」「迷惑をかけてはいけない」というような発想になり、うつ病克服の妨げになる事もあります。
うつ病克服には、時間と精神的余裕が必要です。
それは、脳の神経伝達物質のバランスが簡単には変化しないということがあるからです。
焦りは脳内神経伝達のバランスを崩す事にもなります。
うつ病を克服するということにじっくりと取り組む事が早期克服につながります。

うつ病を理解されない事もある

うつ病の克服には、周りの人間の理解も必要です。
最近では、うつ病に関する認知も広まっています。精神疾患に対する制度も整ってきました。
ですが、未だにうつ病への理解を誤っている方は存在します。
そして、心無い言葉をかける人もいます。
これは、多くの人が生活する現代社会では仕方のないことかもしれません。
うつ病にかかった人にはつらいことですが、そのような事もあるという認識は必要かと思います。
心無い言葉にも対処するには、まずご自身がうつ病に対する正しい知識を持つ事が大切です。
正しい知識を持っていれば、間違っている知識を持っている人の言う事など受け流す事が出来ます。
相手が間違っているという事を自信を持って言える様にすることが大切です。

一人で抱え込まない

うつ病になりやすい性格の方は、自分ひとりで色々と抱え込んでしまう傾向があります。
うつ病の原因になっているストレスはもちろん、うつ病である事も誰にも言えず抱え込んでしまいます。
自分の手に負えない状態が長く続くと、脳は考える事を拒否するようになります。
脳が自己防衛をするためです。
そうならないためには、誰かに話したり相談することが大切です。
最近では会社でメンタルケアを行うところも増えています。
家族や友人に話しをするだけでも気持ちが和らいだりします。
まずは、自分ひとりで抱え込まないようにすることが大切です。

薬に依存しない

うつ病治療の第一選択肢は投薬による治療が選ばれることが多くあります。
症状を改善する方法としては問題ありませんが、うつ病の完全な克服には投薬だけでは足りない部分もあります。
それは、抗うつ薬が「脳内神経伝達物質の再取り込みを阻害する」物がほとんどだからです。
これは、脳内神経伝達物質を増やしたり、自動でバランスを取れるようにするものではありません。
あくまで物質の働く効率を上げるものなのです。
薬をやめた途端、うつ病が悪化するというケースもあります。
逆に必要もないのに投薬を続ける事も依存や副作用をもたらす場合がありますので、投薬には医師との相談を密に行うことが必要です。

良い悪いで考えない

うつ病になると、考えがネガティブになったり、極端になってしまいます。
これはうつ病の症状がそうさせているもので、本人がそうしたい訳ではない状態です。
本人のコントロールが効かない状態で、気持ちが押し寄せてくるような感覚になります。
そして、その感じた感情をそのままにしておくと、更に悪い連想をしてマイナスな感情が連鎖していきます。
通常、症状が悪い場合は薬で症状を和らげますが、ある程度の思考ができる状態なら、自分で考えるという作業も必要になります。
感じた感情をそのままにするのではなく、「違う捉え方はないか?」「自分の思い込みではないか?」を一度止まって考える事が大切です。

うつ病克服には自分自身の変化が効果大

うつ病になる方の性格傾向というものがあります。
それは、とても無意識的な思考や考え方の部分で自分で気付かない事も多くあります。
その人の人格を形成するものでもあり、その人の性格ともいえます。
性格を変えるという事は簡単なことではありません。
時間と労力も必要ですし、協力者は不可欠です。
ですが、人は必ず変わっていけます。
まずは、その信念を持てるようにすることが大切です。
但し、その時に自分という人格を否定する事は止めてください。
知らないうちに身に着いた思考のクセが、うつ病の原因になっているだけで、その人自身が悪い訳ではないからです。
うつ病を治療するという事は、自分の思考のクセを知り、それを変化させるということでもあります。

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